設立趣旨

故杉村久吉先生につきましては、1920年(大正9年)以来三年有余、旭川市立日章小学校にご勤務されました。

 杉村先生は児童たちのため全身全霊を捧げ尽くされた優秀な教師でありました。とりわけ、その杉村先生は勉強嫌いで腕白な子どもたちに深い愛情を注ぎ込むことに心血を傾けられました。

 まるで少年のごとき純粋な魂の持ち主であった故井上先生は、この恩師杉村先生から常に勇気づけ励まされた児童の一人でもありました。

 井上先生は杉村先生より多大な感化を受け、より向上した学問への道を歩み出すことができました。井上先生は、これこそがまぎれもなきその恩師杉村先生からの贈りものであったと述べておられます。

 まさにその通り、かって杉村先生の教え子であった井上先生は北大の教授としてご自身の仕事を完うされ、1976年(昭和51年)ご退職されました。

 実に井上先生は杉村先生の慈しみ深いご遺徳に報いたいと思いたたれ、ご自身の私費を投入されて奨学財団を設立されたのであります。

 この財団のねらいとするものは当然ながら、杉村先生の精神の継承であり、国家並びに社会に対し、有為な人材を育成することであります。

              昭和51年1月15日
              財団法人 杉村先生記念奨学財団
              設立代表者 井上  弘